「家の幸福を見守る魅力的な天才たちが、テーブルを支えている。」──フィリップ・スタルク
キーブーのヘルプユアセルフは、キーブーとフィリップ・スタルクによる初めての協作プロダクトです。
三本の脚と三本の腕を持つ像が三体、背中合わせに連なってひとつのベースを構成し、テーブルを高く掲げます。
神話的な力強さとユーモアが同居するこのシリーズは、家具でありながら、置かれた空間に問いかけをもたらします。
<目次>
1. ヘルプユアセルフとは? ──家を見守る像がテーブルを支える
2. デザインの背景 ──スタルクが込めた「善」の哲学
3. 素材と仕様 ──2サイズの構造と素材の違い
4. スタイリング提案 ──このテーブルとの向き合い方
1. ヘルプユアセルフとは? ──家を見守る像がテーブルを支える
テーブルのベースが、人の形をしています。三本の脚と三本の腕を持つ像が三体、背中合わせに連なってひとつのベースを形作り、天板を高く掲げる構造です。
ひとつの躯体から三面が広がるそのかたちは、古今東西の神話や宗教建築に通じる普遍的な造形言語でもあります。
スタルク自身はこの像たちを「家の幸福を見守る魅力的な天才たち(charming geniuses)」と表現しています。
英語の "genius" はラテン語で「守護霊」を意味する言葉でもあり、家や人を見守るという守護的な存在感がこのベースに宿っています。
"Help yourself"──「ご自由にどうぞ」と誰かをテーブルに招く言葉であり、同時に像たちがテーブルを支えることで使う人を「助ける(help)」という構造的な意味も重なります。
名前そのものが、このプロダクトの本質を語っているようです。
キーブーにとって本作は、フィリップ・スタルクとの初めての協作です。
大型のダイニングテーブルとコンパクトなサイドテーブルの2サイズが展開されており、それぞれ天板の素材と構造が異なります。
2. デザインの背景 ──スタルクが込めた「善」の哲学
スタルクのデザイン哲学の核心は「美しくある前に、善くあること」です。
1万点を超える作品を手がけてきた彼が一貫して問い続けてきたのは、「このデザインは、より多くの人の暮らしをよくするか」という問いです。
ヘルプユアセルフのベースに宿る像は、ギリシャ神話で天空を支え続けたアトラスのイメージとも重なります。
テーブルを囲んで食事をする、誰かと言葉を交わす──そうした日常の場を支えるという役割を、スタルクはこの像たちに込めています。
「誰もが天才である必要はない。でも全員が参加しなければならない。」──キーブー公式ページに記されたスタルクの言葉は、このコレクションに限らず彼の設計哲学全体を表したものです。
人々が集まる場所に据えられたとき、ヘルプユアセルフはテーブルとしての機能を超えた存在感を放ちます。
3. 素材と仕様 ──2サイズの構造と素材の違い
同じコンセプトから展開された2サイズですが、天板の素材と構造はそれぞれ異なります。
【ヘルプユアセルフテーブル(大型・ダイニングサイズ)】
ベースは回転成形によるポリエチレン製で、3か所の腕部にステンレス製のジョイントパッドを装備。
直径140cmの強化透明ガラス天板をUV接着で固定しています。6名程度が着席可能なダイニングテーブルとして使用できます。
・サイズ:幅140 × 奥行140 × 高さ72cm
・重量:約30kg
・天板:強化透明ガラス(直径140cm)
・ベース素材:ポリエチレン(回転成形)
・カラー:ブラック、テラコッタ、ホワイト(全3色)
・使用環境:屋内専用
【ヘルプユアセルフサイドテーブル(XSサイズ)】
同じコンセプトのベースに、直径46.5cmのポリエチレン製天板を一体成形したコンパクトモデルです。
天板と脚部が同素材で構成されており、軽量で取り扱いやすく、ソファサイドや寝室など場所を選ばず使えます。
・天板直径:46.5cm
・天板素材:ポリエチレン(一体成形)
・カラー:ブラックほか展開
・使用環境:屋内専用
4. スタイリング提案 ──このテーブルとの向き合い方
ヘルプユアセルフにはいくつかの特性があります。参考までに、いくつかの置き方を紹介します。
【ガラス天板の透明性を活かす】
大型モデルの強化ガラス天板は、ベースのシルエットを妨げません。
コンクリート床や大理石タイルの上に置くと、像の存在感がより際立ちやすくなります。チェアの選び方次第で印象が大きく変わるので、シンプルなものから試してみるのもよいと思います。
【カラーで空間のトーンを変える】
テラコッタは暖色系のリビングや南欧スタイルの空間との相性がよいかもしれません。
ブラックはモノトーンやインダストリアルな空間でコントラストを生み出しやすく、ホワイトはギャラリーや応接室にも馴染みやすい選択肢です。
【2サイズを組み合わせる】
大型テーブルとサイドテーブルを同じ空間に置くと、同じ像が大小で点在する統一感が生まれます。
必ずしも揃える必要はありませんが、コレクションとして展開することを意識して選ぶのも楽しい選び方です。
まとめ
キーブーのヘルプユアセルフは、フィリップ・スタルクとキーブーの初協作によるテーブルシリーズです。
三体の像が背中合わせに連なるベースが特徴で、大型モデルは直径140cmの強化ガラス天板、サイドテーブルは直径46.5cmのポリエチレン天板を持ちます。
「美しくある前に、善くある」というスタルクの哲学が静かに宿る、キーブーを代表するコレクションのひとつです。
デザイナープロフィール
フィリップ・スタルク / Philippe Starck
1949年、フランス・パリ生まれ。建築家、インテリアデザイナー、プロダクトデザイナーとして1万点を超える作品を手がけ、世界で最も影響力のあるデザイナーのひとりに数えられます。カルテルの「ルイ・ゴースト」「マスターズ」、フロスの「ミス・シシー」、アレッシの「ジューシー・サリフ」など、現代デザイン史に残る作品を多数生み出してきました。
スタルクのデザイン哲学の中心にあるのは、「創造はより多くの人の暮らしをよくするためにある」という信念です。詩的でありながら政治的、反骨的でありながら実用的──その矛盾を共存させる姿勢が、半世紀にわたって世界のデザインシーンを牽引し続けています。