デザインブランドが贈る、ミラノ伝統菓子の新たな物語
クリスマスシーズンのイタリアを象徴する伝統菓子、パネットーネ。
ふんわりとしたドーム型の発酵菓子パンは、バターと卵の豊かな風味、そして柑橘類の砂糖漬けが織りなす上品な甘さが魅力です。
しっとりとした口溶けと長時間発酵がもたらす芳醇な香りは、一口ごとに幸福感を広げます。
2025年、イタリアを代表するデザインブランドと老舗パティスリーが奇跡のコラボレーションを実現。
カルテルとマルケージ、ドルチェ&ガッバーナとフィアスコナーロ。
それぞれの哲学が融合した、特別なパネットーネの世界をご紹介します。
＜目次＞
1. パネットーネとは｜ミラノが誇るクリスマス菓子の起源
2. 逆さま冷却が生む奇跡|伝統製法の科学
3. カルテル×マルケージ｜200年の伝統とデザインの融合
4. ドルチェ&ガッバーナ×フィアスコナーロ｜シチリアの革新
5. パネットーネの楽しみ方とギフト提案
1. パネットーネとは｜ミラノが誇るクリスマス菓子の起源
パネットーネは、イタリアのクリスマスシーズンに欠かせない伝統的な発酵菓子パンです。
ドーム型の美しいフォルムと、ふんわりとした食感が特徴。
リッチなブリオッシュ生地にドライフルーツや砂糖漬けの柑橘類を混ぜ込んで焼き上げられます。
中世ミラノのスフォルツァ家の宮廷で誕生したという伝説が有名です。
見習いの少年トーニが急遽作った「パン・デ・トニ」が大好評となり、のちに「パネトーネ」という名称に変わったとされています。
イタリア語で「大きなパン」または「トニーのパン」を意味します。
生きた天然酵母スターター、厳選された小麦粉、バター、天然バニラを使用して作られます。
長時間の自然発酵、厳格に守られた休息時間、正確な焼成により、すべてのスライスが本物の感覚体験となります。
品質の高い食材と各工程の細心な管理が、調和のとれた豊かな味わいを保証します。
中世イタリアでは贅沢が禁じられ、小麦粉は貴重な食材でした。
そのため、小麦粉やバターを使ったリッチなパネットーネは、キリストの誕生を祝うクリスマスの時期だけの特別なごちそうとして許されていました。
この歴史的背景が、パネットーネをクリスマスの象徴的な菓子へと昇華させたのです。
2. 逆さま冷却が生む奇跡|伝統製法の科学
パネットーネの製法で最も興味深いのが、焼き上がり後の冷却工程です。
オーブンから取り出したパネットーネは、すぐに逆さまに吊るされます。
なぜこんなことをするのでしょうか。
焼きたての生地は、まだ柔らかく不安定な状態。このまま普通に置くと、生地の重みでせっかくのふっくらしたドーム型がぺしゃんこになってしまいます。
逆さに吊るすことで、美しい形を保ったまま冷ますことができるのです。この状態で10〜12時間、ゆっくりと冷まします。
工場では、天井から無数のパネットーネが吊るされた圧巻の光景が広がります。
パネットーネのもう一つの秘密が「マザー酵母」です。
これは何十年も大切に受け継がれてきた天然酵母で、パンに独特のふんわり感とほのかな酸味を与えます。
最大36時間かけてゆっくり発酵させることで、深い味わいが生まれます。
さらに驚くのが保存期間の長さ。バターや砂糖がたっぷり入っていることと、天然酵母の働きで、手作りなら約1か月、メーカー品なら3か月も日持ちします。
これもパネットーネが長年愛されてきた理由の一つです。
3. カルテル×マルケージ｜200年の伝統とデザインの融合
イタリア発のインテリアブランド、カルテルより、ブランド史上初のクリスマス伝統菓子「パネットーネ」が数量限定で発売。
老舗洋菓子店マルケージ1824と、クリスマスのために初めての特別なコラボレーションを実現しました。
マルケージ1824は、1824年にマルケージ家によって創業されたミラノ最古かつ最も有名な菓子店のひとつです。
創業当初から卓越した職人技による製品と、典型的なミラノ菓子であるパネットーネの手作り生産で優れた評判を得ました。
2014年にプラダグループが買収し、現在はミラノ3店舗とロンドン・メイフェアに展開しています。
ミラノサローネ2025で発表された、ファビオ・ノヴェンブレ氏デザイン「ラクーポール」が2025年クリスマス限定でマルケージの代名詞である「パネットーネ」のためのケースとなります。
ラクーポールは、イタリアの都市を飾るドーム、調和と永遠の美の象徴を称えています。
環境に配慮したリサイクルPMMAのみで作られています。
リサイクルPMMAは、元の素材と全く同じ美しさと構造的な強さを保ちます。2025年クリスマス特別パネットーネは、カルテルとマルケージ1824のロゴが両方入った特別なパッケージに包まれ、「ラクーポール」のセンターピースの中にセットされます。
このコラボレーションは、サステナブルな素材の使用、絶対的な品質、そして細部にわたる徹底的なこだわりに焦点を当てています。
「Made in Italy」の本質である「美しさと素晴らしさ」を、カルテルのセンターピースとマルケージのパネットーネという新しい方法でクリスマスを祝います。
4. ドルチェ&ガッバーナ×フィアスコナーロ｜シチリアの革新
シチリアを故郷に持つふたつの名ブランド、ドルチェ&ガッバーナとフィアスコナーロのコラボレーションも見逃せません。
フィアスコナーロは1953年、シチリア島パレルモ県のカステルブオーノで創業。
1988年、若き菓子職人ニコラ・フィアスコナーロは、伝統的にミラノで作られてきたパネットーネを、シチリアの食材で再解釈するという大胆な挑戦を始めました。
シチリア原産の小麦を使用した天然酵母の生地に、レモン、オレンジ、マンダリンの砂糖漬けを練り込み、香り高く上品な仕上がりです。
ブロンテ産ピスタチオ、モディカのチョコレート、地元特産のマンナなど、地中海の恵みを活かした独自のレシピを開発しました。
ドルチェ&ガッバーナのデザイナーが手掛けたパッケージ缶は、イタリアやヨーロッパだけでなく、世界中のコレクターに愛されています。
シチリアのカレット(伝統的な荷馬車)の装飾モチーフ、パレルモのモザイク、マジョリカ焼きなどからインスピレーションを得たパッケージデザインは、まさに芸術作品です。
2025年のラインナップには、新フレーバーのジャンドゥーヤ、爽やかなマンダリン、そしてサフランを使ったシチリア風など、バリエーション豊かな製品が揃います。
芳醇な栗の砂糖漬けと、なめらかで濃厚なジャンドゥーヤをふんだんに練り込んだ贅沢な生地。
まろやかな栗のクリームと上質なチョコレートのアイシングを重ね、奥深い味わいが楽しめます。
5. パネットーネの楽しみ方とギフト提案
パネットーネの魅力は、その多様な楽しみ方にあります。
伝統的にはザバイオーネ(マルサラワインを混ぜたカスタード)を添えますが、少しトースターで焼いたパネットーネに生クリームやバニラアイスを添えることも一般的です。
洋酒や生クリームを添えるのもおすすめです。
朝食にコーヒーと合わせてシンプルに味わうのも素敵。
薄くスライスして軽くトーストすれば、外はカリッと中はふんわりとした食感が楽しめます。
カプチーノやエスプレッソとの相性は抜群で、イタリアの朝食文化を体験できます。
ホームパーティーでは、カットしたパネットーネをケーキスタンドに盛り付け、マスカルポーネクリームやベリーのコンポートを添えれば、華やかなデザートテーブルが完成。
カルテルのラクーポールをテーブルの中央に配置すれば、クリスマスディナーにふさわしい上質な空間演出になります。
Kartellのセンターピースやドルチェ&ガッバーナの美しい缶は食べ終わった後も小物入れとして活用でき、二度楽しめます。
Kartellのラクーポールはテーブルセンターとして、デザイン缶はジュエリーやアクセサリー、文房具などを収納すれば、日常にイタリアの美意識を取り入れられます。
クリスマスシーズンとは切っても切り離せないパネットーネはギフトにも最適です。
まとめ
パネットーネは、中世イタリアから受け継がれるクリスマスの伝統菓子です。
ミラノで生まれたこの発酵菓子パンは、焼き上がり後に逆さまに吊るして冷ますという独特の製法により、ふんわりとした食感と美しいドーム型を実現しています。
2025年、イタリアを代表するブランドがこの伝統に新たな命を吹き込みます。
カルテルとマルケージのコラボレーションは、200年の菓子作りの歴史と革新的なデザイン美学の融合。
ファビオ・ノヴェンブレデザインのラクーポールは、リサイクルPMMAを使用したサステナブルな傑作です。
一方、ドルチェ&ガッバーナとフィアスコナーロは、シチリアの食材で再解釈した独自のパネットーネを展開。
ジャンドゥーヤ、マンダリン、サフランなど、多彩なフレーバーと世界中のコレクターが愛する芸術的なパッケージが魅力です。
長期保存が可能で、洋酒やクリームを添えるなど楽しみ方も多様。
クリスマスシーズンのギフトとして、また自宅で本格的なイタリアの味を楽しむデザートとして、パネットーネは特別な時間を演出してくれます。
