【名作デザイン図鑑】人工知能が導き出した最適解の椅子 カルテル「エーアイ|A.I.」
2025年04月15日
デザインや機能性に優れ、時代を超えて愛される名作家具や照明たち。実用品を超えて芸術作品としても評価されています。

数ある名作の中から今回は、2019年に誕生したKartell(カルテル)の「エーアイ」を紐解きます。

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エーアイ


デザイン:フィリップ・スタルク|Philippe Starck|フランス
製造:カルテル|Kartell|イタリア|オートデスク|Autodesk|アメリカ
2019|ダイニングチェア

<目次>

我々の脳以外が世界で初めてデザインしたチェア Kartellのチェア「エーアイ|A.I.」とは デザインを深堀りする さらに深く掘り下げる その向こう側まで学習したエーアイ エーアイのこれから






我々の脳以外が世界で初めてデザインしたチェア



Kartell(カルテル)のチェア「エーアイ|A.I.」は2019年生まれ。名作と呼ぶにはまだ早いと思われるかもしれません。
しかしエーアイが歴史に名を刻んだエポックメイキングな功績を讃えて紹介します。

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Kartellのチェア「エーアイ|A.I.」とは



その名の通り人工知能がデザインした世界で初めてのチェアです。
建築、製造の3Dデザインソフトウェアの世界的なリーディング企業であるオートデスク社の擁する人工知能が、世界で最も影響力のあるデザイナーであるフィリップ・スタルクのこれまでの作品を学習して、イタリアのKartell社が製品化しました。

製造の際に可能な限り少ない材料とエネルギーにすることや、Kartell社の得意とする射出成形技術が活かせるデザインにすることなどの要件が盛り込まれました。
材料には100%リサイクル素材が用いられています。
リサイクルと言っても製造の過程で出てくる端材を素材として再生成した混じり気のない純粋なストック素材です。




デザインを深堀りする



スタルクを学習した人工知能が導き出したチェアのデザインを深堀りしてみましょう。
世界中のスタルクファンなら色々と思い浮かべる過去の作品があるのでは?

特に特徴的なのは肘掛けのディテールです。広い背もたれのすぐそばにアイスクリームバーの様になめらかで控えめな肘掛けがデザインされています。
控えめながらも絶妙な位置と大きさという事は座るとすぐにわかります。
同じKartellの椅子で言えば「アンクルジム」あたりのディテールを思わせます。

アンクルジム→

射出成形に適した華奢なフレーム状の骨格に対して、座面と背もたれは緩やかなRを帯びた曲面で充分な大きさです。
これは最も座り心地を左右する場所が体重分散に適した形状になっていることを意味しています。

カラーにはブラック、ホワイトのベーシックなカラーに加え、鈍い光沢のメタリックグレイが特色として設定されています。
レンガのようなオレンジや90年代のスタルクの作品に多く採用された明るいイエローグリーンが選べるのはファンには嬉しいポイントです。

メタリックグレイ


さらに深く掘り下げる



エーアイが初披露されたミラノサローネ会場で、その姿を見たオーディエンスはどのような第一印象を持ったのでしょうか。

未来を象徴する存在である人工知能A.I.が出した答えは、どことなく生物の骨格を思わせる実にオーガニックなデザインでした。
見たことが無いはずなのにどこか既視感を感じたのは、スタルクのこれまでの作品ではなく、進化の末にたどり着いた生命ある私達の身体が最適解だったことを思い起こさせるからでは無いでしょうか?


その向こう側まで学習したエーアイ



過去に引退宣言をした事があるスタルク。
その後もスタルク名義の作品は世に生み出されていますが、自身のこれまでのデザインに絶望し、もうデザインはしないと言った過去の作品を学ばせた結果がこの「エーアイ」です。
製造方法は革新的で未来的でありながら、完成した製品は実に本質的で内面的です。
果たしてデザインしたのはA.I.なのか、スタルクなのか。
何はともあれ、源がスタルクでなければこのエーアイの愛あるデザインは世に出てこなかったでしょう。
これまでの作品は決して無駄なんかじゃなかった、と言わざるを得ません。

「Kartellのエーアイは人工知能がデザインしたチェア」という表面的な理解でも間違ってはいません。
しかし、エーアイの魅力は実はその内側にスタルクが宿した人間賛歌が息づいているところにあるのです。

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エーアイのこれから



2019年に産声を上げたエーアイチェアは、翌2020年に国際的に権威あるデザインアワード「reddot Design Award|レッドドットデザインアワード」を受賞し、その後も年を追うごとに仕様やファミリーを増やしています。
そして今年2025年のミラノサローネでは新たに肘掛け無しの「エーアイライト」が発表されました。
ますますファミリーを増やし続けるエーアイの今後にも注目です。

2019年:「エーアイ」
2020年:メタリック仕様追加・reddot Design Award|レッドドットデザインアワード受賞
2021年:「エーアイスツール」
2022年:「エーアイスツールライト」
2023年:「エーアイラウンジ」「エーアイコンソール」
2024年:「エーアイオリ」(プロトタイプ)
2025年:「エーアイライト」

エーアイファミリー

エーアイライト





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フィリップ・スタルク|Philippe Starck



フランス人デザイナー、1949年生まれ。
インテリア、家具、照明、建築、日用品、パッケージ、アパレルに至るまで、これまでにありとあらゆる分野のデザインを手掛ける。
パリのカモンド美術学校卒業後、ピエールカルダンのアートディレクターを務め、インテリアと家具のデザインを担当。独立後多くのインテリアデザインを手がけ、その活躍ぶりが当時のフランス大統領、ミッテラン氏の目に留まり、1982年エリゼ宮殿のスイートルームのデコレーションを任される。
これを機に世界中から脚光を浴び、出世作でもあるパリの「カフェ・コスト」をはじめ、ニューヨークの「ロイヤルトンホテル」、香港の「ペニンシュラホテル」、オランダの「グローニンゲン美術館」など数々のインテリアを手掛ける。
代表的なブランドには、カルテル、バカラ、フロス、アランミクリ、アレッシ、グラスイタリア、ディオール、ペリエ、エメコなどが名を連ね、日本では浅草のアサヒビールホール「フラムドール」を思い浮かべる人も多い。

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