まるで空中に浮かぶ光の彫刻のように、空間を静かに照らすFLOS（フロス）「Luce Orizzontale（ルーチェ オリゾンターレ）」。
フランスを代表するデザイナー、ロナン&エルワン・ブルレックが2022年にフロスのために生み出したこのペンダントライトは、パリの歴史的建築ブルス・ド・コメルスでのオーダーメイド照明から着想を得ています。
鋳造ガラスのシリンダーが連なるモジュール構造は、職人の手仕事が生む唯一無二の質感と、最先端技術が融合した名作照明です。
1. ルーチェ オリゾンターレの特徴｜手仕事が宿る光の連なり
ルーチェ オリゾンターレは、直径10cmのガラスシリンダーが水平に連なる独特のフォルムが特徴です。
8本、10本、または12本のシリンダーで構成され、全長は約1.66mから2.49mまで展開。
天井から極細のアルミニウムケーブル3本で吊るされ、まるで空中に浮かんでいるかのような軽やかさを演出します。
各シリンダー内部には研磨されたアルミニウムバーが通され、上向きと下向きの2つのLEDラインが内蔵されています。
光源は直接照明と間接照明の両方を同時に提供し、ダイニングテーブルを優しく照らしながら、天井にも光を届けます。

2. デザインの背景｜ブルス・ド・コメルスから生まれた照明
この照明の起源は、2021年にパリで開館したピノー・コレクションの美術館、ブルス・ド・コメルスにあります。
18世紀に建てられた歴史的建築を、日本の建築家安藤忠雄が現代美術館へと改修。
その際、フランソワ・ピノーから内装と照明のデザインを依頼されたのがブルレック兄弟でした。
彼らはフロス・ベスポークと協働し、エントランスホールに全長6mの巨大な「ホリゾンタル・ライト」を5基設置。
この壮大なインスタレーションを住宅やレストラン向けにスケールダウンし、一般向けに製品化したのがルーチェ オリゾンターレです。

3. 素材とディテール｜ムラーノガラスが紡ぐ独特の表情
最大の特徴は、ベネチア・ムラーノ島で職人が一つひとつ手作業で作るガラスシリンダーです。
溶けたガラスを回転する型に流し込む鋳造技術により、各シリンダーには職人の動きが刻まれた独特の痕跡が残ります。
同じものは二つとして存在しない、有機的な表情です。「これは工業的なガラスではなく、常に変化する素材です」とブルレック兄弟は語っています。
LEDは色温度2700K、演色性CRI95の高品質仕様で、料理や空間を自然な色で美しく照らします。
調光機能も搭載され、ダイレクトタッチ式、プッシュDIM、DALIシステムに対応します。

4. インテリアコーディネート｜彫刻的な存在感を活かす配置術
ルーチェ オリゾンターレは、ダイニングテーブル上に設置することを前提にデザインされています。
テーブル全体を均等に照らす水平の光は、食事の時間を特別な体験に変えてくれます。
長方形のダイニングテーブルと平行に配置すれば、光とフォルムが調和し、空間に洗練された印象をもたらします。
また、複数台を平行に並べると彫刻的な存在感がさらに際立ち、ホテルのロビーやレストラン、企業のエントランスなど広い空間にも最適です。
モダンな北欧スタイル、ミニマルなコンテンポラリー空間、コンクリート打ちっぱなしのインダストリアル空間など、どんなスタイルにも美しく調和します。

5. モジュール構成｜空間に合わせて選べる3サイズ
ルーチェ オリゾンターレは3つのサイズから選べます。
S1は全長約166cm、重量28kg、LED110W。S2は全長約207cm、重量34.5kg、LED145W。S3は全長約249cm、重量41kg、LED165W。
いずれも受注生産品で、空間の広さやテーブルサイズに合わせて最適なモデルを選択できます。
重量があるため、約23kg以上の照明器具に対応したジャンクションボックスが必要です。
設置は専門業者への相談をおすすめします。接着剤を一切使わない構造のため、将来的に全てのパーツを分解しリサイクル可能という、サステナビリティへの配慮も特筆すべき点です。