調理する喜び、それは食材を活かすことです。
しかし残念なことに、火入れにより食材は損傷します。
では、食べるものの可能性を最大限に引き出すために何ができるでしょうか?
ANAORIは火入れと向き合って、独自の観点から調理道具を開発しました。
火入れが、食材に与えるストレスをいかに抑え、本来の味と栄養を引き出すか。そのためには、適切な素材と正確なデザインが必要です。
ANAORIは日本料理に知恵を求め、長年培った、工業用精密製品の加工ノウハウを活用し、全く新しい視点の調理道具を開発しました。それは、羽釜の伝統的な形状とカーボン・グラファイトという先進的な素材の融合、それがANAORI kakugamaの誕生です。
近年の料理文化は、先端技術そしてより精密な器具を通じて、新たな価値観を築きました。効率性、緻密性、再現性がもっとも重要とされています。しかし、スチーム・コンベクション、真空調理そして分子調理を経て、次に何が期待できるでしょうか?
ANAORIは新しい発想のもと、本質に立ち返りました。火入れをする食材を慈しむことにより、発見に満ちた調理のある生活が再び始まります。
時代を超えたデザインに込めた日本のものづくり
ANAORI kakugamaには、日本のものづくりが集結されています。
カーボン・グラファイトの塊からこのミニマルなキューブを削り出して、五回のコーティングをするのに、約一ヶ月かかります。そのなかで偶然に委ねられた工程は一つもありません。
kakugama本体と蓋が嵌合するように、ANAORIの高精度加工技術により、0.1ミリの誤差で製造します。
キュービカルな形状は、理想的な蓄熱を実現します。本体の底がひとまわり小さくなっていることによる、IHにおけるよりスムーズな動きを追求しました。
側面に刻まれた取手は、ミトンで持ち上げるのに理想な形状です。輪郭のあしらいは、茶室建築に由来する「几帳面」の面取り。外蓋の内側には溝が施されており、グリルパンとして使用できます。
確かな仕様と細工によって、革新的な調理哲学が個性的なかたちとなりました。
ANAORI kakugamaは機能性、エレガンス、完璧さを兼ね備えた、時代を超越したミニマリズムの定義です。
最先端技術で蘇る歴史的形状
kakugamaを実現させるためにANAORIは、日本料理の本質を追求する料理人、料亭「青柳」三代目主人小山裕久と共同開発を行いました。その成果は、伝統と最先端技術を融合させた、唯一無二の出会いです。
ANAORI kakugamaの内側は「芋型」といわれる、伝統的な羽釜の形状を忠実に再現しています。
江戸中期まで普及した「芋型」は、完全な対流によって均一な伝熱を実現しました。その結果、無水調理に近い状態でも食材の火入れが可能となり、煮ると見事な出汁ができます。この形状は、鋳鉄、アルミやステンレスなど、大量生産の製造方法では実現しません。
ANAORI kakugamaの特徴は、「芋型」に由来する効率的なデザインとカーボン・グラファイトが持つ可能性との出会いにあります。
カーボン・グラファイトでの調理
ANAORI kakugamaは、カーボン・グラファイトの塊を一つ一つ削り出して作られています。
カーボン・グラファイトで火入れすると、炭火焼きの全ての利点を実感できます。
カーボン・グラファイトがもたらす高い遠赤外線と蓄熱性は、加熱による食材の細胞破壊を最小化させます。
また、優れた伝熱性は、食材への火入れを素早く、優しくします。
食材へ与えるストレスが最小限であることは、味も食感も栄養も最大限に活かします。
カーボン・グラファイトの耐摩耗性、耐薬品性および耐熱性は、kakugamaの長期的な使用を保証します。
カーボン・グラファイトとは・・
金属に変わる最先端の素材として注目を集めるカーボン・グラファイトは、炭素原子が六方晶構造中に配置されることで形成される物質です。
耐熱性、熱衝撃性、耐薬品性、熱伝導性、導電性、耐摩耗性に優れた特徴があり、鉄と比較すると比重は4分の1で、
遠赤外線放射率(熱エネルギーを放出する効果)は5倍にも及び、 調理道具の材質としてのポテンシャルを秘めています。
里山の香り
ANAORI kakugamaには二つの蓋があります。
カーボン・グラファイトでできた嵌合設計の外蓋は熱と湿度を封じ込めます。
ヒノキ製の内蓋は、その吸湿力によって水分量をコントロールします。
工芸から調理道具まで幅広く使用されるヒノキは日本の風土の象徴であり、料理を日本の里山の香りで包み込みます。
火入れ方法を高める
ANAORI kakugamaはそれぞれの火入れ方法を高めるために開発されました。食材の持つ可能性を最大限に引き出すために、この一台で炊く、煮る、蒸す、焼く、揚げることができます。
炊|最高のご飯
シェフたちの意見が一致すること、ANAORI kakugamaで炊いたご飯は完璧であるということ。均一な伝熱によってお米が柔らかく芯まで炊けます。同時に、一つ一つの粒が立ちます。その出来栄えは、土鍋や羽釜など、作り手の技量が試される炊き方と並びます。
煮|旨みのエッセンス
煮込み料理は、出汁が重要。そのためには、アク抜き、水分調節を目的に行う下茹での工程が必要です。ところがANAORI kakugamaは、下茹でを行わずに、食材の個性と出汁の旨みが渾然一体となります。日本料理の「旨み」の本質が、ここにあります。
蒸|味を濃縮する
ANAORI kakugamaは食材の個性を保ちつつ、その水分量を調整します。ほぼ無水調理でも美味しくできるポシェ。これは食材を活かして、味を妥協せずに健康に調理する方法に向けて新たな道を拓きます。
焼|的確な火入れ
魚や肉、野菜などをカーボン・グラファイトの外蓋で焼くと、食材の中芯を引き立てつつ、表面を的確に火入れをします。それは、カーボン・グラファイトの遠赤外線効果により、中芯部と表面の温度差を減らし、加熱によるタンパク質の変性と細胞破壊を最小限に抑えることができるからです。
揚|食感へのこだわり
優しく揚げる。これは矛盾に聞こえるかもしれません。ANAORI kakugamaの素早い伝熱で、パリッとしたころもの中で食材が旨みを保ちつつ蒸しあげられます。