4,879,600 円
(税抜:4,436,000円)
カールトンの最大の特徴は、その多義的なシルエットです。
メトロポリタン美術館の作品解説では、腕を広げてユーザーを迎えるロボット、複数の手を持つヒンドゥーの女神、あるいは自らの世界の頂点に立つ人物の姿にも見えると記されています。
左右対称の安定した構成と大胆な色彩は、見る人によってさまざまなイメージを喚起します。
カールトンは、本棚・間仕切り・チェストとして使える構造を持っています。
W190×D40×H196cmというほぼ正方形のシルエットは、空間をゆるやかに分けながらも光を通す開口部を備えています。
部屋に置かれた瞬間、その空間の印象を大きく変える強い造形力を持っています。
カールトンは「機能美」という概念とは対極にある作品です。
本を効率的に収納するための家具ではなく、合理性や使いやすさを追求した設計でもありません。
むしろ、機能主義が当然としてきた優先順位をあえて守らないことで、「これは何なのか?」という問いを投げかけます。
この作品は、アートの視点から見ても非常に完成度の高い造形です。
大胆な色彩構成、左右対称の安定感、人型を思わせるフォルム、そして正三角形(実線と仮想線)の精緻な幾何学構造。
これらはポップアートや抽象彫刻にも通じる強い造形言語を生み出しています。
その芸術性から、カールトンは家具としてだけでなくアート作品として評価され、メトロポリタン美術館のモダン・アンド・コンテンポラリー・アート部門にも収蔵されています。
素材にはMDF(中密度繊維板)に装飾用ラミネートを貼ったパネルを使用しています。
ラミネートは本来、大量生産の工業製品に使われる素材ですが、カールトンでは丁寧な手作業によって仕上げられています。
この素材選択は、大理石や銘木といった従来の高級素材への価値観を覆す試みでもありました。
メトロポリタン美術館はこの点を「高と低の転倒」と評しています。
表面にはソットサス自身がデザインした「Bacterio(バクテリオ)」をはじめとする独自のパターンが使われています。
有機的なこの模様は、家具の表面から空間へと広がり、部屋全体にメンフィス特有のリズムを生み出します。
それは単なる装飾ではなく、空間の意味そのものを書き換える力を持っています。
普通の本棚は、本を収めるための家具です。
しかしカールトンは、本棚という機能を超えて空間の主役となる存在です。
インテリアの価値観を問い直し、空間の印象を根本から変えてしまう力を持つデザイン。
カールトンは、メンフィスの思想を最も象徴する作品のひとつです。
