「名作デザイン図鑑:ジョガーリに宿るイタリア文化の息吹」
2025年10月18日
トーヨーキッチンスタイル 照明 ジョガーリ 名作デザイン

ジョガーリ|Giogali


デザイン:アンジェロ・マンジャロッティ|Angelo Mangiarotti|イタリア
製造:ヴィストージ|Vistosi|イタリア・ヴェネチア
1967年|照明・シャンデリア

名作デザイン図鑑の中でも特に注目される「ジョガーリ|Giogali」は、イタリア文化が息づく革新的な光の彫刻です。
1967年に建築家アンジェロ・マンジャロッティが生み出したこの照明は、ガラスと重力を結びつけ、時代を超えて輝き続けています。

<目次>

1.光とガラスが織りなす構造美 2.イタリア文化と職人技の融合 3.デザイン史に刻まれた革新 4.建築家マンジャロッティの思想 5.まとめ





1.光とガラスが織りなす構造美



トーヨーキッチンスタイル 照明 ジョガーリ 名作デザイン

ジョガーリは、均一な形状を持つガラスパーツを連鎖させることで成立します。
金属フレームを最小限に抑え、光そのものがフォルムを描く革新的な発想でした。
光はガラスの曲線を伝い、柔らかく拡散しながら空間に陰影を生み出します。
その姿は、まるで光が編まれた布のように繊細で、見る者に詩的な印象を与えます。


2.イタリア文化と職人技の融合



トーヨーキッチンスタイル 照明 ジョガーリ 名作デザイン

ジョガーリのガラスパーツは、ヴェネツィア近郊ムラーノ島の伝統的なガラス工芸に根ざしています。
工業的に均一な形状を保ちながらも、手仕事によるわずかな揺らぎが光を豊かに変化させます。
イタリア文化が持つ「美と機能の調和」の精神が、ここに結晶しています。


3.デザイン史に刻まれた革新



トーヨーキッチンスタイル 照明 ジョガーリ 名作デザイン

1960年代は大量生産とクラフトの両立が課題とされた時代でした。
ジョガーリはその問いに対する答えとして誕生し、デザイン史において重要な位置を占めています。
均一な部材を組み合わせることで多様なフォルムを実現し、同時にクラフトの温もりを失わない。その思想は、現代のサステナブルデザインにも通じる普遍性を持っています。


4.建築家マンジャロッティの思想



トーヨーキッチンスタイル 照明 ジョガーリ 名作デザイン

アンジェロ・マンジャロッティは、素材の本質を尊重する建築家でした。
彼は重力を「敵」ではなく「味方」と捉え、ガラスパーツが自らの重みで連鎖する構造を考案しました。
この思想は、彼の建築作品にも通じる一貫した哲学です。ジョガーリは、建築とプロダクトの境界を超えた「光の建築」として、今もなお人々を魅了し続けています。


5. まとめ



ジョガーリ|Giogaliは、均一なガラスパーツを連鎖させる独自の構造によって光を形づくる革新的な照明です。
ムラーノ島の伝統工芸と工業合理性を融合し、1960年代のデザイン史において重要な役割を果たしました。
建築家マンジャロッティの思想を体現するこの作品は、半世紀を経た今もなお文化的価値を放ち続けています。



アンジェロ・マンジャロッティ|Angelo Mangiarotti (1921–2012)

20世紀イタリアを代表する建築家・デザイナー。素材の特性と重力を巧みに活かした造形で知られ、構造そのものを美へと昇華させる姿勢を貫きました。
ミラノ工科大学卒業後、シカゴのイリノイ工科大学で客員教授を務め、ライトやミースらモダニズムの巨匠と交流。1950年代以降は建築、家具、照明、彫刻など多分野で活躍し、ボルトや接着剤を使わず、重力によって部材を安定させる構造を多用。石やコンクリートによる建築、置くだけで成立する棚やテーブルなど、重力を「味方」とする発想は彼の作風を象徴しています。
教育者としても国際的に活動し、世界各地の大学で素材と構造の本質を次世代に伝えました。生涯にわたり数々の国際的な賞を受賞し、彼の作品は今なお「重力と素材の真理を可視化するデザイン」として高く評価されています。

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